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津波訴訟ドキュメンタリー映画「生きる」上映会が開催されました。


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 2024年3月23日(土)、寺田和弘映画監督と吉岡和弘原告代理人弁護士をお招きし、映画「生きる」の上映会およびトークイベントを開催しました。2011年3月11日の東日本大震災で、唯一多くの児童が犠牲になった大川小学校。「生きる」は、そこで亡くなった子どもたちの死を無駄にせず、今後同じような犠牲を生まないための教訓とすべく奮闘する遺族の姿を描いた、誰もが必見のドキュメンタリー映画です。

 映画では、吉岡弁護士らの力を借りつつ、遺族団が行政に損害賠償を求めた裁判の様子が、裁判開始前と終了後まで含めて描写されています。地裁、高裁、最高裁といずれも原告が勝訴しますが、地裁の認めた「現場過失」ではなく、高裁・最高裁が平時の「組織的過失」を行政に認めた点が特に画期的でした。つまり、地震当日の学校の先生の行動や判断よりも、学校の日頃からの災害対策が不十分であった点に問題があったと判断されたのです。遺族の切なる思いと努力が実った判決といえます。この判決の意義は、法学部で民法や行政法を学ぶと、より強く感じられるものです。

 上映会では、上映に先立ち、本学法学部の林昌宏先生から、「3つの大震災の特徴と教訓について」プレトークが行われました。災害列島ニッポンにおいて、近時の関東大震災、阪神淡路大震災、東日本大震災の経験は、日本の防災意識や対策に大きな変化を生みました。他方で、時間の経過とともにその意識も風化しつつあります。未来に向けてすべきことは、他人事としない心構えであり、その意味でも本日の上映会はとても大事であるとお話しされました。

 上映後は、寺田監督、吉岡弁護士、林先生にご登壇いただき、会場からの質問に答えるトークイベントが行われました。そこでは、他地域の災害を自分事として考える意義、人の命を守るために裁判に対する日本人の法意識を変える必要性、活字だけでなく耳で繰り返し聞くことによる理解、裁判における遺族の主観と法律の客観の一致、事前の避難計画と事後の説明責任の大切さ、とりわけ学校関係者がこの映画を見る意義などについて、登壇者から丁寧に回答がなされました。私たち愛知学院大学としても、「学校が子どもの命の最後の場所になってはならない」という教訓をよく胸に刻み、最悪の事態を想定した十分な防災計画と意思共有を図る必要性を強く感じた一日となりました。

 この映画は、賠償や説明責任などの法学の勉強にも有用ですが、それ以外にも災害対策、家族の絆、命・人生、風評被害、ガバナンスなど、多くの示唆にあふれています。リピーターも多く、見るたびに新たな気づきに出会える作品です。ぜひみなさんも、身近な人と一緒に実際に鑑賞して何かを感じ取ってください。愛知県では、現在以下でアンコール上映されています。

シネマスコーレ(名古屋市)2024年4月20日(土)~4月26日(金)
刈谷日劇(刈谷市)2024年3月22日(金)~4月4日(木)
※詳しくは、映画「生きる」公式ページをご確認ください