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経済安全保障発表会の開催(尋木ゼミ)


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 2025年12月11日(木)に、「国際法に基づく日本の経済安全保障の重層化」をテーマに、国際法ゼミ(尋木真也先生)の発表会が行われました。当日の発表会には、名古屋大学のウミリデノブ・アリシェル先生や、第一線で活躍する省庁の方々にゲストとしてお越しいただき、クロストークが行われました。
 経済安全保障とは、経済の観点から安全保障を図ることを意味します。この概念には、サプライチェーンの強靭化のような経済そのものの安定性の確保(経済の安全保障化)と、輸出管理や衛星開発のような経済による安全保障上の脅威の除去(安全保障の経済化)が含まれます。こうした複合的なテーマのうち、以下の4つの個別テーマについて発表が行われました。
1班 貿易管理による自動車産業の発展 -重要物資の調達と販路拡大-
2班 外国資本による土地取得の規制の方向性
3班 海底ケーブル保護の予防的アプローチ
4班 宇宙資源の開発と利益配分

 1班は、関税貿易一般協定(GATT)を軸に、中国のレアアース規制と米国のトランプ関税について、法的評価やとるべき対応策の考察を行いました。対応策については、サプライチェーンの多角化や重要物資再利用の拡大等の提言がなされました。
 2班は、中国人による日本の不動産取得には誇張も含まれることに留意しつつ、サービス貿易一般協定(GATS)や地域的な包括的経済連携(RCEP)協定に基づく客観的な検討を行いました。また、米国やカナダ、オーストラリアなどの取組みを参考に、住宅地の規制と多文化共生策の必要性についての見解が示されました。

 3班は、海底ケーブルの損傷に関する諸外国の事例や国連海洋法条約に照らしつつ、事後処罰にとどまらないケーブル保全の予防策の必要性について主張しました。企業への聞取り調査等を踏まえつつ、ケーブル自体の強化策に加え、官民連携や衛星等代替手段の拡充についても議論が展開されました。
 4班は、天体上の重要鉱物や水などの商業開発と利益配分について、東西対立と南北対立を解消する方策を模索しました。国連宇宙空間平和利用委員会(COPUOS)における議論や、深海底や生物多様性分野に関する利益配分規定等を踏まえつつ、国連宇宙機関(UNOSO)を創設することによる包括的な解決案を提示しました。

 それぞれの班の発表に対して、専門家や実務家の方々からさまざまなご質問やご意見をいただきました。ゼミの学生は、時間をかけてクロストークするなかで、新たな気づきや課題を見いだすことができたようです。

 大変お忙しいなかゼミの発表会にご参加いただいたみなさまに、心より感謝申し上げます。