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講演会


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毎年、学生法律討論会と同日に、愛知学院大学法学会が主催している、「講演会」の内容をご紹介します。

令和5年度講演会(吉岡和弘氏)

2023年11月16日(木)「大川小学校児童津波被災事件に学ぶ」(編集中)

令和4年度講演会(蜂須賀太郎氏)

 2022年11月18日(金)に法学会講演会が開催されました。今年度は、現代社会法学科開設20周年記念講演会として、愛知県弁護士会会長の蜂須賀太郎先生をお招きし、「司法を担う法律実務家の実像〜弁護士を中心として〜」との演題でご講演いただきました。蜂須賀先生は、判事補として東京地方裁判所や釧路裁判所で勤務された後、名古屋にて弁護士業務にあたられてきました。

 講演では、まず、日本国憲法の枠組みについて、憲法の基本原則である国民主権・基本的人権の擁護・平和主義を中心に、社会の変遷に伴う考え方の変化や現在の日本の状況などをわかりやすく説明いただきました。これらの内容を前提に、法曹三者の役割、特に弁護士の役割について詳しくお話いただきました。蜂須賀先生は、どのような弁護士像を描いたとしても果たすべき役割は同じであるとして、基本的人権を擁護し、社会正義を実現すること、特に社会的弱者とされる人の権利を護ることが、弁護士としての最大の責務であるとされます。そして、弁護士は、人権の最後の砦として、営利ではなく、人の悩みという公益に奉仕する専門職であるという自負のもと、依頼者の権利の実現と利益の最大化のためにひたすら尽くさなければならない、と強調されました

 このような役割・使命のもとでの弁護士の具体的な活動の一端として、生活困窮者や高齢者・障がいのある人、様々なマイノリティに対する支援活動などをご紹介いただきました。また、弁護士の刑事弁護活動に対してしばしば向けられる問いとして、「なぜ被疑者や被告人を弁護するのか?」という点についても触れられました。蜂須賀先生は、学生に向けて「被疑者・被告人になったことを想像してみて欲しい」と投げかけられ、極めて厳しい状況にある人に寄り添って相談に乗ることができる法律の専門家は弁護士だけであり、まさしく社会的弱者であるそのような立場の人を護ることが弁護士の使命であると述べられました。

 講演の最後には、今回お話しいただいた弱者救済の必要性を踏まえ、「安心して弱者になれる社会」を築くことが望まれると指摘され、これからの日本を担う学生へのメッセージとして、弱者であることがいかに住みにくい世の中かをイメージし、そのような人たちが住み良い環境になるためにはどうしたら良いのかに思いを致し、「安心して弱者になれる社会をつくる」ということを心の片隅において、これからの人生を歩んで欲しいと語りかけられました。
 参加した学生からは、「弁護士が裁判以外にも弱者救済のためにさまざまな活動をしていることを知ることができた」、「弁護士は弱者救済が最大の使命であるという言葉が印象に残った」などの感想が聞かれました。

令和3年度講演会(梅川正美氏)

 11月11日の午後、法学会講演会が開催されました。今年度は、本学法学部客員教授の梅川正美先生に、「イギリスの宗教と法(剣と十字架)」という演題でご講演いただきました。
 梅川先生は、本学法学部で長年教鞭をとられ、法学部長、法学研究科長などの要職を歴任されています。また、政治学会などでたいへんご活躍されており、イギリス政治研究、とりわけサッチャー政権研究の第一人者でいらっしゃいます。

 今回の講演会で、梅川先生は、中世から現代に至る、イングランド教会の樹立とその変容について、「公認教会(Established Church)」「寛容制度」「信仰支援」「21世紀の問題」の順に詳しくお話しされました。すなわち、中世の教会はバチカンが支配していましたが、16世紀に、ヘンリー8世が武力によりChurch in EnglandをChurch of Englandに作り変えました。しかし、アングリカニズムには、リチャード・フッカーの神学にみられるように、神、君主のほか、これと対立しうる人民(people)と法の支配(rule of law)という原理がもともと組み込まれており、政体、教会、人々との関係は接合と緊張を含むものとして展開されてきました。
 19世紀からは寛容制度が始まり、イングランド教会が優位にたちつつも、一定の範囲で他宗教への配慮も示すようになりました。ただし、寛容とは限界づけのことであり、自由とは異なることに注意が必要です。20世紀に入ると、例えば、小・中学校のカリキュラムの宗教教育のなかで他宗教の信仰支援をすることが、一部の例外はあるものの、行われるようになっています(信仰支援)。そして、このような歴史の流れをお話しされた上で、梅川先生は、イングランド教会の今後について、イギリスなるものの理解も含め、問題を投げかけられました(21世紀の問題)。

 梅川先生のご講演は、国家と人々ないし個人との関係のあり方を、イングランド教会の樹立とその変容を通して考える、というものでした。そのお話の行間には、イギリスの分析をヒントに、わが国における国家と人々、さらには、わたしたち自身との関係のあり方について、自由に考えてみてください、というメッセージが込められていました。
 講演を聴いた学生たちは、ふだんは潜在して、ともするとみえにくい、国家と人々、あるいは個人との関係(例えば、戦争、宗教、裁判、選挙など)について、身近な問題として受け止め、考えることができました。

令和2年度講演会(中止)

新型コロナウイルスの影響に鑑み、講演会中止

令和元年度講演会(田中治氏)

田中治先生(同志社大学法学部教授)をお招きして、「税金の常識・非常識」というテーマで講演が開催されました。

社会全体で支えるべき公共事務を維持・発展させるために、財源すなわち税金が必要となりますが、その税金を負担する納税者である国民への税負担の分配が公平・公正に行われているについて、税法学の知識のない学生に対して、わかりやすいクイズ形式で学生に問いかけがなされました。

講演では、①株を売って300万円もうけた人と、勤労者として働いて300万円もうけた人の税負担は同じか、②違法な売春、賭博等によるもうけでも所得税はかかるか、③ふだん日本に住んでいる人が、たまたま海外に旅行し、ギヤンブルで得たもうけには日本の所得税はかからないか、④大会社が払う法人税の税率(負担割合)は、中小の会社が払う税率と同じか、⑤法律上、消費者は、買物をするたびに、店の人に消費税を預けているのか、という例が示されました。そして、それらに対して、事実はどうなっているのか(解釈)、どのような制度にすべきか(立法論、制度論)という法学的思考の在り方についてお話しいただきました。また、(1)総合累進課税の現在、(2)包括的所得概念の現在、(3)納税義務者と課税対象、(4)法人税と所得税との関係、及び(5)消費税の納税義務者という視角から、税法学の普遍的な理論的問題を平易に話されました。

また、学生が社会人として、生活していくうえでの税法の勉強をすると何の役に立つかという税法学の有用性についてご教示いただきました。すなわち第一に、市民常識として税金の理解が深まるということです。人は社会において、なぜ、どのようにして助け合わないといけないかを理解できるようになります。税は、共存共栄の社会を作り、社会を持続発展させるために不可欠であり、市場での競争関係や損得関係とは明確に区別すべきでしょう。
第二に、将来、会社員や公務員に進む、税理士や会計士などの視角を得る、研究者の道に進む、などいろいろな進路の中で役に立つ、という啓蒙的な話もなされました。
講演内容を聴取した学生から質問がなされましたが、その質問にも田中先生が叮嚀に応答され、学生に勉学意欲を喚起する貴重な講演会となりました。

平成31年度講演会(加藤慶二氏)

11月1日(木)に、弁護士の加藤慶二先生をお招きして、多様な家族のあり方に関する講演会を開催しました。

テーマは「多様な家族を考える」。前半は、体外受精によって生まれた子どもとの親子関係などについて、後半は、性的少数者(LGBT)の人たちの同性婚や事実婚などについてお話をいただきました。弁護士という実務家の観点から、現在の法制度の問題点等についてのわかりやすい説明とともに、法制度にとどまらない、該当する人たちの気持ちに配慮したあるべき姿についても大変興味深いお話をいただきました。

こうした問題に関する法制度のあり方や率直な感情などについて、講師と学生の間で対話が重ねられました。また、体外受精で生まれた子どもの「出自を知る権利」についてなど、学生からも多くの質問がありました。加藤先生、貴重なご講演ありがとうございました。

平成27年度講演会(川出敏裕氏)

本年度は、東京大学の川出敏裕教授をお迎えして、「新時代の刑事司法制度の課題」と題するご講演をいただきました。

川出先生は、法制審議会・新時代の刑事司法制度特別部会のメンバー(幹事)として、約3年間にわたる同部会の議論に参加されてきました。ご講演では、特別部会における議論も踏まえながら、「取調べの録音録画制度」及び「協議合意制度」を中心に、制度の内容や制度導入の趣旨・目的等について、詳しく説明してくださいました。そのうえで、両制度に対する評価についても言及されました。

まず、「取調べの録音録画制度」については、その対象が裁判員対象事件等(全体の2~3%)に限定されていることに対する批判はあるものの、警察による被疑者取調べの全面可視化の意義は非常に大きく、さらに、実際の運用においては対象外の事件も録音・録画がなされる傾向にあることなども踏まえると、今回の録音録画制度の導入は評価しうるとのご見解を示されました。

また「協議合意制度」についても、「引き込み供述の危険」を理由とした根強い批判はあるものの、そのような危険に対処するために、捜査機関による裏付け捜査が徹底されることや、協議合意制度により得られた供述であることが公判で明らかにされ、弁護側による反対尋問にさらされること等、供述の信用性を担保するための各種の措置がとられていること、さらに、協議合意制度により得られた供述の信用性評価に関して、裁判所が一貫して慎重な態度を示してきたこと等からも、引き込み供述の危険性はかなりの程度回避しうるとのご見解を示されました。

ご講演の最後には、立法は妥協の産物という側面を不可避的に有するものであり、今回の改正案も現段階で合意形成が可能であった最善策にすぎないこと、それゆえ、今後も(時代に即した刑事司法制度に作り替えていくという観点から)運用による改善を積み重ねていく必要があることを指摘されました。

当日の講演会には300名を超える学生・教員の参加を得ました。また、質疑応答では、(司会者が口を挟む間もないほど)立て続けに学生から質問が出されるなど、ご講演への関心の高さも窺われました。川出先生のご講演は、改めて刑事司法制度の在り方について考える非常に貴重な契機になったと思います。


平成26年度講演会(大場浩之氏)

早稲田大学の大場浩之先生から、物権変動、とりわけなぜ売主から買主に不動産の所有権ご講演いただきました。

判例通説の立場(契約時に所有権は移転する)と、有力説の立場(代金、登記等所有権を移転するとするのに適切な時点で所有権は移転する)には、理論的対立はあるものの、実際のところ裁判例においては、当該事件の状況を捉えてうまく運用していることで、実質的な差は相対的なものであるとされました。

またこうした裁判例の解決方法は、一見すると日本法とは程遠い状況にあるドイツ法(所有権移転には、契約だけでなく、物権行為が必要とする)と実質的に近いものであることを指摘され、ドイツ法の所有権移転方法は参考にするべき点があるとされました。

このように、日本法の状況だけではなく、比較法研究も示されることで、学問の世界の魅力の一端も披露され、大盛況のうちに講演会は終了しました。

平成25年度講演会(小田典靖氏)

弁護士として消費者問題に取り組んでおられる、小田典靖氏をお迎えして、「身近なネット消費者被害~知らないと危険なネットの罠~」と題する講演をいただきました。

今日、インターネットを利用しない日はないくらい、パソコンやスマホはもはや当たり前のように身近に存在しています。しかし、便利である反面、とんでもないトラブルに巻き込まれ、あるいは知らずに加担してしまっていることも見られるようになっています。情報をしっかりとコントロールし、犯罪には手を染めるようなことがあってはなりません。

学生たちは、実際に問題となった事例をもとに、実に巧妙な手口に驚きつつも、その後待ち受ける大変な事態を目の当たりにして、しっかりとした知識を得るとともに、今一度、身の回りの出来事を振り返ってみるよいきっかけになったことでしょう。

平成24年度講演会(山田泰弘氏)

平成23年度講演会(杉浦宣彦氏)

2011年10月27日、「平成23年度 愛知学院大学法学会主催講演会」が開催されました。

全国的に電子マネーが普及し、東海地方においてもTOICAに続き本年2月よりmanacaが導入されております。また、金融機関を使った資金の振り込み、飛行機・鉄道などでのポイント・マイレージサービスも普及しており、電子的な資金決済は日常生活において必要不可欠なものとなっております。このような状況を踏まえると、我々が生活していくためには、電子的な資金決済に関する正確な知識が必要とされています。そこで本年度は、中央大学大学院戦略経営研究科教授の杉浦宣彦氏を講師にお招きし、「資金決済法施行1年―電子マネー・送金ビジネスをめぐる法整備と新たな金融ビジネスの現状と展開―」と題して、講演いただきました。

講演会は、まず電子決済市場の現状説明から始まりました。2007年「電子マネー元年」から電子マネーは「交通系」を中心に急成長を遂げ、現在の市場規模は2兆円を超えています。すべての支払手段の中においてはまだ電子マネーの規模は小さいですが、首都圏外での成長、スマートフォンなどの影響を受け、今後とも成長が望める決済手段だそうです。
ただ、かつての法律では、電子マネーの発行会社が破綻した場合、電子マネーの利用者の一部は保護されないこととなっていました。なぜなら、かつて電子マネーについて規定していた前払式証票規制法(プリカ法)では、ICカードなどのデバイスを利用した電子マネーには発行者の供託義務が課されていますが、サーバ管理型電子マネーにはこのような義務が課されていなかったからです。

そこで講演は、資金決済法の内容に入っていきます。
2009年に制定され、2010年から施行されている資金決済法では、電子マネー発行者の供託義務の範囲をサーバ管理型電子マネーにも広げ、幅広い利用者保護を実現するとともに、銀行以外の業者にも少額の為替業務を解禁することになりました。特に後者については、コンビニ業務やtwitterなどと組み合わせると、様々な送金ビジネスが広がる可能性があります。

最後に、資金決済法から外れた決済手段として、ポイント・マイレージサービスが説明されました。

当日は本学学生・教職員のみならず、東海地方の鉄道事業者も参加し、多くの聴講者を集めました。まだ新しい法律である資金決済法につき、同法の解釈だけではなく制定の趣旨についても、現実に起きた事件などを踏まえ、わかりやすく講演をしていただき、同法について理解を深めることができました。

平成22年度講演会(折本和司氏)

2010年11月11日、「平成22年度 愛知学院大学法学会主催講演会」が開催されました。

本年度は、長年にわたり医療事故を中心に取り扱ってこられた横浜弁護士会所属の折本和司弁護士を講師にお招きし、「医療と人権と司法」と題して、ご講演いただきました。全体的には、社会のセーフティネットとしての医療と司法という問題意識の下、セーフティネットの構築がおざなりにされ、将来の生活への不安が増しているという現在の社会状況が典型的に現れているのが医療だとの認識に基づいて、様々なお話をいただきました。

より具体的には、「医療裁判実務の経験から見た医療事故の背景状況の変化」として、医療事故の増加の背景にある医療現場の疲弊の問題、「医療現場の疲弊とセーフティネットとしての医療への悪影響」として、医療現場の疲弊が引き起こしている問題、とりわけ、利益につながらない医療を敬遠せざるを得なくなる医療機関と医療者の問題、「現実の司法制度の疲弊について」として、検察不祥事の背景にある問題や、硬直化し官僚化した司法システムの変革をめぐる問題、「医療のかかえる様々な問題」として、問題を起こす悪質な医療者がなかなか排除されない医道審制度の問題、といったように、医療事故事例に数多く携わってきた弁護士ならではの多岐にわたる問題点について、豊富な事例を交えつつお話いただきました。

折本弁護士は、弁護士になられて以来、ほぼ一貫して医療事件に携わってこられたのですが、その中で、なぜ医療事故が起きるのか、どうしたら医療事故を減らすことができるのか、医療者と患者側で何らかの連携ができないかという問題意識を少しずつ深めてこられたそうです。そういったお話をしていただく一方で、大阪地検特捜部における証拠データ書き換えにまつわる不祥事にもみられるように、司法制度が必ずしも正常に機能しておらず、まだまだ発展途上にあることにまで言及されました。結論的には、以上のような問題点を解決するためには、組織に埋没しないで、我々ひとりひとりがプロ意識を持って取り組んでいく必要があることを指摘されました。

以上のようなお話を踏まえて、最後は、聴衆たる学生諸君に対して、どのような職業に就くにせよ、プロになるのだという意識を忘れないで、想像力と勇気を持ってがんばってもらいたいというメッセージをもいただくといった、大変有益な時間となりました。

平成21年度講演会(菅家利和氏、佐藤博史氏)

2009年10月27日、「平成21年度 愛知学院大学法学会主催講演会」が開催されました。

本年度は、今年再審開始決定が出され、現在再審公判中の足利事件の菅家利和さん、そして、長年にわたり、菅家さんの無実の主張を支え続けてこられた足利事件弁護団の佐藤博史弁護士のお二人を講師にお招きし、「足利事件の真実―冤罪はなぜ起きたか」と題して、講演いただきました。

講演会では、まず佐藤博史弁護士から、足利事件の事案概要とこれまでの裁判経過について、ご説明いただきました。佐藤弁護士は、当時の新聞報道(「スゴ腕 DNA鑑定 100万人から1人を絞り込む能力」・「否認突き崩した科学の力」)などを紹介されながら、「100万人に1人」という科学を装ったDNA鑑定(後に明確な誤りであったことが判明)を前に、警察・検察はもちろん、裁判官も、そして弁護人でさえも、真実が見えなくなってしまったこと、その結果、菅家さんの真の無実の訴えを「虚偽の弁解」と決めつけてしまったことに、足利事件の最大の問題点があったと指摘されました。

つぎに菅家さんからは、警察による任意同行、そして、その後の取調べの実態についてお話いただきました。「菅家はいるか?」と怒鳴りながら、菅家さんの借家に数名の刑事が押し入り、被害者の女の子の写真を見せながら謝罪を迫られたこと、その後、警察署に連行され、数十分放置された後、自白を強要され続けたことなどの体験について、詳しいお話をしてくださいました。菅家さんは、長年にわたる無実の主張の末、ようやく裁判所による再鑑定が認められ、無実が明らかになり、今年釈放されました。無実の罪で、17年以上も刑事施設に収容されたことになります。全く弁解を聞き入れない自白の強要、科捜研による誤った鑑定、そして、菅家さんが代償性小児愛であるという誤った精神鑑定など、多くの問題点を再審公判では明らかにしてほしいという強い思いを語られました。

当日は、500名を超える学生・教員、そして市民の皆さんも参加され、予定時間を超える活発な質疑応答がなされました。現実の誤判冤罪事件の当事者である菅家さん、そして、菅家さんの無実を確信し、長年にわたり菅家さんを支え続けてきた佐藤弁護士から、直にお話しをうかがうことができ、冤罪の重みについて、改めて実感させられた大変貴重な経験となりました。

平成20年度講演会(萩本修氏)

2008年11月17日、「平成20年度 愛知学院大学法学会主催講演会」が行われました。

本年度は、法務省民事局民事法制管理官の萩本修先生をお招きし、「立法のプロセスと条文の読み方~法律はどのようにしてできあがるのか~」と題して、ご講演いただきました。

法律は国会で作られるものですが、そこに至るまでに多くのプロセスを経ています。このプロセスを知ることは、成立した法律を正しく理解する上で非常に重要なことなのですが、従来、十分に知られてこなかったと言えます。萩本修先生はご講演の中で、言わば「裏舞台」としての立法プロセスについて、実際に法案作成に携わってこられたご経験に基づきながら、大変貴重なお話をしてくださりました。

内閣提出法案との関連で、日本に特殊な制度としての与党審査(事前審査制)に関連する問題など、立法過程の「裏舞台」についての大変興味深いお話をいくつも紹介してくださりました。また、憲法や法律が私たちの身近な生活と密接に関連していることについても、ガソリンの一時的値下げ問題などを取り上げながら、非常にわかりやすく、ご説明くださりました。

さらに具体的な法律の立案作業に関しても、萩本先生の体験談や実際の具体例を紹介されながら、立法事実を正確に把握することの困難さ、立法方針を決定する際に要求される多角的視点の重要性についてお話をいただきました。最後には、できあがった法令の読み方についても、細かな文言の使い分けによって意味が異なる場合があることなど、基本的な法令の読解法をご説明くださりました。

講演会には多くの学生・教員の参加を得ました。萩本先生のご講演は、普段あまり意識することなかった立法プロセスについて認識を深めるとともに、法律について改めて考え直す大きな契機になったと思います。